「どこに頼めばいいかわからなくて、とりあえず検索しました」

高槻市で増改築を相談してくる方の多くが、最初にこう言います。増築なのか改築なのか、建築確認申請(工事前に市区町村へ出す届け出)が必要なのかどうかすら、調べれば調べるほどわからなくなる、という状態で問い合わせてくださる。それ、まったく恥ずかしいことじゃないです。正直、ちゃんと複雑なので。

昨年の秋ごろ、Tさん(38歳・高槻市在住)からGoogleの検索経由で連絡が入りました。ご両親と同居する3世帯家族で、築39年の戸建て住宅にお住まい。コロナ禍以降ずっと在宅ワークが続いているのに、集中できる部屋がなくて困っている、ということでした。「リビングで仕事していると家族に気を遣わせてしまって」という言葉が印象的でした。

このTさんの事例をベースにしながら、増改築でよく聞かれる疑問に現場目線でお答えしていきます。


現場のプロが本音で答える、増改築のリアルQ&A

Q1. 書斎を増築するのに建築確認申請って必要ですか?費用はどのくらい変わりますか?

これはよく聞かれるんですが、正直に言うと「場合による」としか言えなくて、それが混乱を生む原因だと思っています。

大前提として、床面積を増やす「増築」は原則として建築確認申請が必要です。ただし、防火地域・準防火地域以外のエリアで、増築面積が10㎡以下の場合は申請不要とされています。高槻市内でも住宅地によって用途地域が異なるため、まず敷地がどのエリアに該当するかを確認する必要があります。

Tさんの場合は準防火地域外でしたが、増築スペースとして想定していた広さが10㎡を超えたため、確認申請が必要になりました。申請費用自体は10〜15万円程度ですが、これに伴って設計図書の作成も必要になるため、トータルのコストは変わってきます。また、増築すると容積率(敷地面積に対して建てられる延床面積の割合)や建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)の上限を超えないかも必ず確認が必要です。詳しくは現地を見ないとわからないので、まず一度話を聞かせてください。

Q2. 増築と改築ってどう違うんですか?書斎をつくるならどっちですか?

現場で見ていると、この2つを混同している方が非常に多いです。

増築は床面積を増やすこと。家の外に部屋を足すイメージ。改築は床面積を変えずに間取りや構造を変えること。既存の部屋を書斎に転用したり、仕切りを設けたりするのが改築にあたります。

Tさんのケースでは、まず「家の中に使っていない空間があるかどうか」を現地で確認しました。実際に見てみると、2階に物置状態になっていた6畳間があり、断熱材の補強と内装を整えることで書斎として十分機能する状態にできると判断。結果として増築ではなく改築でご提案しました。費用は35〜55万円程度の範囲に収まり、確認申請も不要でした。「てっきり外に部屋を増やすしかないと思ってた」とTさんに言ってもらえたのが印象に残っています。

Q3. 「増改築すると固定資産税が上がる」って本当ですか?

増築の場合は本当です、正直に言うと。床面積が増えれば家屋の評価額が上がり、固定資産税も増えます。ただし、改築(面積が変わらない工事)の場合は基本的に評価額は変わりません。

また、バリアフリー(段差解消・手すり設置など)や省エネ目的の改修工事については、条件を満たせば固定資産税の減額措置が適用される場合があります。Tさんのご両親が高齢ということもあり、廊下の手すり設置なども合わせてご提案しました。こうした優遇制度は年度によって変わることもあるので、詳しくは現地確認のうえご説明します。

Q4. 築39年の古い家でも増改築できますか?耐震が心配で…

高槻市周辺で150件以上の現場を経験してきた経験から言えば、築年数だけで判断するのは早いです。1981年以前に建てられた建物は旧耐震基準(震度5程度を想定)で建てられているため、耐震性の確認は必須ですが、構造がしっかりしている物件も多い。

高槻市は2018年の大阪北部地震で震度6弱を記録したエリアです。あの地震を経て耐震補強の相談が一気に増えましたが、実際に現地を確認すると「外壁にひびは入ったけど構造体は問題なかった」というケースも少なくなかった。一方で、基礎のクラック(ひび割れ)や柱の傾きが見つかったケースもあります。増改築を機に耐震診断をあわせて行うことを、私は強くすすめています。

Q5. 3世帯同居で二世帯住宅に近い形にリフォームしたいのですが、何から考えればいいですか?

これは間取りの話だけじゃなくて、「どこまで空間を分けたいか」を最初に家族で決めておくことが一番大事です。完全分離型(玄関・水回り・動線すべて別)にするのか、LDKは共用しつつ個室だけ確保するのか、によって工事の規模も費用も変わります。

Tさんの場合、ご両親の寝室と水回りの動線をゆくゆくはバリアフリー対応にしたいというご要望もあったため、今回の書斎工事と並行して「将来の改修を見越した間取りのたたき台」も一緒に考えました。今すぐ全部工事する必要はない。でも、先を考えた上で今の工事をする、というのが長く住む家には重要です。詳しくは現地を見ながら話しましょう。


Tさんのその後——書斎ができた日に届いたLINE

工事が完了した日の夜、Tさんからこんなメッセージが届きました。「扉を閉めたら別世界みたいで、今日初めてちゃんと仕事に集中できました」。物置だった6畳間に、コンセントとLAN配線を整備し、遮音性を高めた内装に仕上げた部屋です。大がかりな増築じゃなくても、暮らしは変えられる。そのことをTさんに教えてもらった現場でした。

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